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ユーコンの風Vol.8(2004年9月)


Firth River予告編

今年の夏は、最高の思い出ができた。

Firth River。ここ、ユーコンのパドル仲間の間でも、この川は一目置かれている存在である。その大きな理由は、景観の素晴らしさ、川としての面白さ、多種多様の野性動物の観察に恵まれているという以外に、旅の終点が北極海、というそのドラマティックなロケーション、そしてアクセスの難しさが挙げられる。


TwinOtter 旅の基点は、ドーソンの40キロほど南から北極圏を目指して伸びるデンプスター・ハイウェイの終点イヌビックの町。ここから川旅のスタート地点へは、更に飛行機(といっても、ツイン・オッターというプロペラ機)で、北西、ユーコンとアラスカのほぼ州境まで約1時間半飛ぶ。そして旅の終わりには北極海に浮かぶユーコン最北端の島であり、州立公園であるハーシャル島からまたツイン・オッターでイヌビックへ戻る、というかなり大がかりな旅なのだ。

その川を、私はこの夏下る機会に恵まれた。声がかかった時には、思わず叫んでしまった。滅多なことでは興奮しない私が、旅の前にはかなり浮かれており、友人にバンバンメールを打った他、出発の5日前から「持っていくもの」をソファーの上に並べてニコニコし、周囲の人間を苦笑させた。まるで、遠足前の小学生だ。「持っていくもの」も、事情の分かった「ノンビリ、ゆったり」のユーコン川の旅とは違い、北極圏の旅は気温が急激に上下する可能性があるため、あらゆる気候に対応できる装備を持参する必要があり、また川の水温が非常に低いので、長靴に更にインナーを入れたり、と個人装備だけでユーコン川の旅の2倍ほどに膨れ上がった。このような準備も、旅への期待感と心地よい緊張感を膨らませてくれ、私は久々に肩にズシリとくるザックを担いで、Air Northの飛行機でホワイトホースからイヌビックへ向かった…。
 
Firth from Rockユーコンに暮らして9年。最近何となく、ここに来た時の気持や意義、目的、その他全てのものがボンヤリしてきているような気がしていた。それだけに、今年の夏は、何か、もう一度自分とこの北の大地を結び付ける機会が欲しいと思っていた。それだけに、このFirth をその「考える」「感じる」舞台として得ることができたのは、願ってもない機会であったし、英語で言えば "It was meant to be"、すなわち、起こるべきして起きたことのような気がした。

この旅の様子は、後日このHPに記載するつもりでいる。今でも、何となく旅心地が抜けておらず、毎日川の上で過ごしているような気分でいるが、この想いが冷めないうちに書こうと思っている

と、いうことで、今回は仰々しくも、「予告編」ということで留めさせていただく。乞うご期待。

独り言

今年の夏、ユーコンでは数々の山火事に加え、洪水騒ぎまで起こった。温暖化の影響で氷河の氷が急速に溶け、ユーコン川の源流でもあるマーシュ・レイクの水位が異常なほどに上がったのである。騒動が起こったのは7月中旬。私が丁度ファース川の旅を終え、イヌビックの宿でテレビをつけたところ、全国ニュースにホワイトホースが登場したから驚いた。映像のなかでは、マーシュ・レイクの湖畔に住む人々が、サンド・バッグを家の周りに置いて浸水を防ごうとしていた。ユーコンに暮らして9年目、初めて目にする光景だった。

温暖化は、ここ数年ホワイトホースでも非常に身近な話題のひとつである。今年は、「自分達に何ができるのであろうか」ということを、もっと考えてみたいと思っている。

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Bear Spray今年6月には、ホワイトホースで気温30度以上の日が1週間以上続いた。その頃、とあるユーコン常連のソロ・カヌーイストが、旅の終わりに私に新品のベア・スプレーと斧を残していってくれた。なんとも、ユーコンらしい置き土産だ。喜んでいただいた私は、それらを車の助手席に置き、家に到着してからもそのまま車に残しておいた。数時間後、外出しようと車に近づくと、窓の外から異様な光景が見えた、、、。まるで、熊に引き裂かれたような状態のベア・スプレー缶が助手席に転がり、窓ガラスにはオレンジの飛沫があちこちに散らばっている。一瞬、誰かが車に入りイタズラをしたのかと思った。ドアを開けると、周りにいた友人も、私も、一斉にクシャミや咳をしだした。動揺する私に、友人のひとりが冷静に言った。「熱で、缶が破裂したんだよ…。大変だよ、これ…。」
それを証明するかのごとく、フロント・ガラスの前には缶の底の部分が転がり、ガラスには新たなヒビが入っていた。

いやあ、驚いた。友人に促されて、新しいベア・スプレー缶の注意書を読んでみると、確かに「+50度、0度以下では破裂の可能性有り」、と書いてある。その日の気温は36度であったから、窓を閉めきって太陽の下に駐車された車内は、当然50度以上に達したのだろう…。しかし、まさかこんな形でそのことが証明されるとは思わなかった。

結局、車は特別な薬品を用いてプロの手によって清掃された。それでもまだ、車に乗ると目が痛かったり、クシャミが出たりする。

*ちなみに、この車は知る人ぞ知る私の88年もののトヨタ・ターセルである。このアクシデントを機会に車内もきれいになり、まだまだ現役で走っている。

ベアスプレー、恐るべしである。時々、珍しいのでザックやスーツケースにスプレーを忍ばせて飛行機に搭乗しようとするツーリストがいると聞く。が、これを読んだ方々は、そのような事は決してしないようご注意いただきたい。

これもまた、ユーコンらしい夏の思い出のひとつ、である。

Yoshie Kumagae