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ニュースレター

ユーコンの風 (第1号) Feb.2000

ユーコンに暮して5年、Sweet River Enterprisesを起こして2年になる。ここにきて ようやく、ずっと構想を練ってきたユーコン・ニュースレターを新生HPに掲載することになった。ようやく、というのは念願かなってというより、やっと書く気になったということである。「まず、遊ばないことには何も伝えられない」がモットーだけに、今までひたすらユーコンの風の中で遊び、ようやく自然が私を通 して何やら話しかける気になってくれたようである。

このニュースレターではユーコンでの出来事やら噂話なども掲載していく。目標は月イチの更新(あくまで目標)である。旅行者の方の体験談やらも受け付けていくので、いつでもメールで原稿や写 真をお送りいただきたい。また、最近特におかしいと評判の私の日本語を指摘するメールも大歓迎。とにかく気取りなしで是非、このニュースレターにご参加いただきたい、と思う。

ユーコンの冬

ユーコンの季節のなかで、いつからを「冬」と呼ぶかは、人それぞれ。私は10月初旬 から5月初旬を冬としている。基準は、ホワイトホースの町に初雪が降る時期からユーコン川の氷が割れる頃まで。冬の平均的な気温はー15度からー30度。日照時間は12月で4ー5時間程である。

本物の「Yukoner(ユーコン人)」となるにはこの冬を3度は越さなければいけないと 言う。3度の冬を越した人のことを地元では「サワドー」という。逆に夏の気候のいい季節だけやって来る人のことを「チチャコ」と言ってからかう。

が、今年、ユーコンでは異常なまでの暖冬が続いている。クリスマス前後、ホワイト ホースでは気温が何と+8度まで上がり、一時「カナダで最も暖かい地域」であった。この時期、11月にたんまり降った雪は溶けて道路はベチャベチャ。人々は暖かいことを喜ぶかと思いきや、スキーができないとブーブー文句を言っていた。私の周囲で一番困った顔をしていたのはドッグ・マッシャーであった。ユーコンの冬のアクティビティのハイライトでもあるドッグ・スレディング(犬ゾリ)。観光業を主とするマッシャーにとっては冬の4ヶ月が稼ぎどきなだけに、雪が溶けては商売上がったり。また、犬ゾリレース「ユーコン・クエスト」などに出場するレース・マッシャーは犬のトレーニングができずに、早々とフェアバンクスまで雪を求めて移動した人もいたそうである。

地球のあちこちの都市で「Y2K」問題が騒がれていた頃、ユーコンの人々の間では気 候に関する話題が一番の関心事であったと言ってもいいだろう。自然と向き合って生活する人々にとってはコンピューターよりも地球温暖化の方が気になる問題であったりするのだ。

2月中旬現在も相変わらず暖かい。ここ数週間の平均気温は-5度くらいか。いつも朝 起きて一番最初に温度計をチェックする。+2度だったりすると驚きで両手を上げ「ウォー」っと叫ぶ(本当の話)のである。

気温が上がると1日のスケジュールが微妙に変化する。通 常、ー15度を過ぎる とエンジンをかける前に1ー2時間、エンジンを温めるために突き出たコンセントを差し込まなければいけない。さらに走る前には15分ほどエンジンをかけっぱなしにしておく(普通 、この間に窓の氷をこそぎ取る作業が行われる)。従って、朝早くに出かける用事がある場合など、結構、計画性がいるのである。これが暖かい日には必要ないため余裕の1日となる。こんな日には友人のマッシャーの事が気になりつつも、ガス代が節約できてちょっと嬉しかったりもするのである。

冬のイベント

ユーコン人にとってこの季節は「芸術の冬」である。稼ぎどきの夏、アウトドアの 夏、忙しかった人々がフッと落ち着き、習い事やら音楽活動やらに精を出し始める。

ユーコンのミュージック・シーンの主流はフォークである。ギターを抱え、キャビン の暖炉の前で自作の曲を奏でるのが、何とも粋なのである。ホワイトホースでは毎年10月から5月の第1土曜、ダウンタウンの教会の地下で「コーヒーハウス」が開かれる。コーヒー、紅茶と手作りのケーキ、それにロウソクの光を楽しみながら、次々にステージに上がる地元のミュージシャンたちの音楽に耳を傾ける。冬の夜、妙に暖かい空間がそこにある。

また2月は特に、大きなイベントが目白押しである。以下、紹介しよう。
ユーコン・クエスト

  • ユーコン・クエスト(2月12日-25日)
    アラスカのフェアバンクス_ホワイトホース間で行われる1000マイルの犬ゾリレ
    ース。毎年出発地は入れ替わり、今年はフェアバンクスからのスタート。-40
    から-50度の世界で繰り広げられる"タフな"レース。
  • フロストバイツ・ミュージック・フェスティバル(2月18日-20日)
    3日間に渡る賑やかなミュージック・イベント。ユーコンだけでなく、カナダ各地から招待されたミュージシャンが様々な音楽を繰り広げる。
  • ユーコン・サワドー・ランデブー(2月24日-28日)
    ゴールド・ラッシュ期を偲ばせるせるフェスティバル。小麦粉担ぎコンテストやら
    丸太切り競争、犬ゾリレースやら、ほのぼのとしたイベントの数々が繰り広げら
    れる。

北の冬というと、どうしても寒い、暗いというイメージがありがちだが、ユーコンの 人々は意外と元気である。北らしい冬の景色を楽しめる人だからこそ、ユーコンを生活の場と選らんだのかもしれない。

思い出話

ユーコンに暮して1年目の冬、思えば随分と無鉄砲(今より)であった。あの頃は16 年ものの Fordグラナダという大きなアメ車を運転していた。価格は中古で500ドル。破 格であった。

この車で、冬の真っ只中、ホワイトホースから2時間西に走ったクルアニ国立公園を よくひとりで訪ねた。スノー・タイヤだなんだに関する知識もあまりなく、夏と同じものを使用していたように思う。その車で、よく走った。スリップして溝に落ち、ヒッチハイクして公園近くに住む友人のキャビンまで辿り着き、シャベルで3時間ほど雪かきして脱出した経験もなくはない。

ここまでしてクルアニに行きたかったのは、雪山を眺めたかったからである。雪山な んて、ホワイトホース周辺にもごまんとあるにも関わらず、何故かその頃はクルアニであった。

丁度、1年めのVISAの期限が切れる前。これからどうしようかとぼんやり考えていたことがあ る。そんな時、山に登って朝日を見た。その時、来年もここでこうしてユーコンの山に登る朝日と見たいと思った。ここに、いたいと思った。

別にその時に願をかけたわけではなかったが、今でも私はユーコンにいる。もう、5 年もユーコンの山に登る朝日を眺めている。そしてその時々に、やはりここだなと思うのである。

Yoshie Kumagae